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東京の安全安心に関するシンポジウム「地域の力で東京を変える」(概要)

  • 日時 平成27年1月27日(火曜日)午後2時30分から午後5時00分まで
  • 場所 都庁第一本庁舎7階ホール
  • 対象 区市町村職員、防犯関係団体、都民など
  • 趣旨
    このシンポジウムは、振り込め詐欺や危険ドラッグ等の薬物による事件・事故など、都民の日常を脅かす問題が発生する中、2020年のオリンピック・パラリンピックの開催を控え、「世界一の都市・東京」にふさわしい、誰もが安全安心を実感できる社会の実現を目指し、東京都と警視庁が関係者の機運を高めるために開催したものである。
    当日は、舛添都知事と髙綱警視総監による開会挨拶に引き続き、首都大学東京法科大学院教授の前田雅英氏による基調講演「誰もが安全安心を実感できる社会の実現を目指して」が行われた。その後、前田氏をコーディネーターとして、特別区長会会長・荒川区長の西川太一郎氏、学習院大学法学部教授の櫻井敬子氏、警視庁の藤本隆史生活安全部長、東京都青少年・治安対策本部の河合潔本部長をパネリストとして、「地域の力と連携の強化に向けて」をテーマに議論が展開された。

1 開会挨拶

■舛添要一 都知事

東京都は、2020年のオリンピック・パラリンピックの開催を控え、「世界一の都市・東京」を目指している。
東京を世界一の都市とするためには、都民はもちろん、東京を訪ねる誰もが世界で一番、安全安心だと実感できる治安の良さが求められている。東京のような大都市の治安を誰もが安全安心ということ実感できるレベルまで引き上げることは簡単ではないが、行政、警察、地域等がそれぞれの立場で取り組むことによって、必ず達成できると考えている。
例えば、かつて、交通事故死者数が年間16,000人を超え、交通戦争と称された昭和40年代、これを半減するため、警察による取 締りに加え、交通安全施設の整備や交通安全教育の充実など、多くの関係者の努力によって平成14年に半減し、約8,000人となった。
しかし、これで良しとはせず、官民を挙げて、交通事故死者数の更なる半減を目指すことを明らかにし、昨年、約4,000人と戦後最低の水準となった。治安に関しても、同様で、関係者が総力を挙げて取り組めば必ず達成できる。
都内の刑法犯認知件数は戦後最悪と言われた平成14年から半減し、統計上、治安は改善している。一方、特殊詐欺や危険ドラッグに起因する事件・事故など、地域の安全安心を脅かす事案が多発しており、その被害者の多くは、高齢者、女性、子供などの弱者である。特殊詐欺と危険ドラッグは、まず首都である東京から撲滅しなければならない。
東京都は、平成27年1月23日に「安全安心TOKYO戦略」を策定した。この戦略は2020年を見据え、今後の東京の安全安心、特に地域の安全安心の強化に向けた施策の方向性を明らかにしたものである。
地域の安全安心の強化は、都が一方的に号令をかけても実現せず、また、警察の取締りだけでも足らない。地域を中心にして主体的に取り組み、行政、警察、地域団体、企業等がそれぞれの機能を活かして、効果的に分担と連携をすることが極めて重要である。 
安全安心の向上には、地域の真摯な取組の蓄積が非常に重要である。行政、警察、地域等のあらゆる主体が総力を挙げて、更なる地域の安全安心の向上に努めていくことを強く決意する。

■髙綱直良 警視総監

都内の刑法犯認知件数は平成15年から12年連続して減少している。昨年は、戦後最悪を記録した平成14年の約30万件と比べると、概ねその半数となっており、数字の上では、着実に回復してきている。
これは、自治体、関係機関・団体、地域住民を始め、多くの方々による犯罪抑止に向けた取組の成果である。
その一方、振り込め詐欺を始めとする特殊詐欺は認知件数は減少しているものの、被害総額は依然として約80億円に上るなど大変厳しい状況が続いている。また、危険ドラッグの使用に起因する痛ましい事件・事故も相次いでいる。危険ドラッグについては関係条例の改正、取締り強化等の諸対策が講じられているが、いまだ店舗・インターネットを通じて誰でも、容易に、安く入手でき、都民の安全を脅かす深刻な問題である。そのほか、子供や女性の安全確保にも強い関心が寄せられており、学校からの帰宅途中などに暴行・性犯罪・声掛け・つきまとい事案が多発しているほか、安全であるべき通学路において、小学生が犠牲となる痛ましい交通死亡事故が発生するなど、地域に大きな不安を与えている。
このような情勢の中、2020年のオリンピック・パラリンピックの開催を控え、「世界一安全な都市・東京」の実現に万全を期していかなければならない。
地域との連携は不可欠であり、警視庁では、既に54の区市町村と安全安心に関する覚書を締結し、相互に連携して、犯罪の起きにくい社会づくりの推進のため、施策を進めている。
2020年に向け、自治体、警察、関係機関・団体、事業者、地域住民との一層の連携、そしてそれぞれの主体的な取組の更なる強化・高度化を図る必要がある。
こうした連携の下、特殊詐欺や危険ドラッグ、子供の安全確保等の喫緊の課題を含め、情勢に応じた 効果的な対策を構築し、的確に実施していくことが重要であり、警視庁としても、都民の安全安心の確保に今後とも全力を挙げていく所存である。

2 基調講演「誰もが安全安心を実感できる社会の実現を目指して」

■前田雅英 首都大学東京法科大学院教授

世論調査で、日本人として誇りに思えることは何かと聞くと、一番は治安の良さである。今の日本が安全で安心な街だということを、多くの国民は実感できる。ヨーロッパ諸国を始め外国では治安が悪化し、その対策に苦慮しているが、犯罪状況のデータで日本は安全だと言われている。オウム真理教による一連の事件や秋葉原の通り魔事件など、印象的な事件が起きれば、世論調査などでは国民の不安感は高まる。国民の安全安心を考える上では、誰もが安全安心を実感できることが大事であり、そのためには、やはり犯罪の数を減らすことが基本である。

戦後30年、日本は犯罪を減らし続けた。その中で、1964年の東京オリンピックは非常に大きな意味があった。戦後復興の象徴として、東京はもちろん、全国に波及し、日本全体で取り組み、経済も成長して犯罪を減らすことに成功した。

しかし、少年犯罪や外国人犯罪の増加により治安は悪化し、平成14年には最悪の状態になった。その後、不法残留者を半減にするなど、国の政策は成功したが、犯罪を減少させる上で先頭を切って取り組んだのは東京都である。防犯ボランティアの育成や地域での見守り活動の推進など、東京都が先駆けて行ったことが大きな力となった。

2020年のオリンピック・パラリンピックにより、多くの外国人が日本にやって来る。また、介護で外国人労働者を受け入れるという話もある。世界では、フランスでの風刺画問題を始め、表現の自由に絡む問題が発生し、外国人排除のデモが起きている国もある。現在、世界で一番大きな問題は民族問題であり、日本も決して他人事ではない。

日本の治安の良さの根底には、島国として、民族・言語・文化の完全な統一性や、家族・コミュニティ・企業における強い連帯性、思いやり・情を重んじる精神などがある。また、銃器や薬物を排除したことは非常に有効であった。しかし、3D拳銃や危険ドラッグなど、新たな問題も発生している。

東京を考える上での原点は江戸である。文化や思いやり、倫理観など、そのまま現代に適用できないとしても、伝統を踏まえながら新しさを追求していかなければならない。安全安心まちづくり政策を進める上でも、防犯カメラを始めとした新しい技術と、これまでの経験の蓄積・伝承、そして地域の個性が非常に重要である。

すなわち、国際交流が進んでいく中で、日本の価値観に則った、地域に根差した安全安心まちづくり政策が必要である。東京都や区市町村、警察の取組も大事だが、それらを支える地域の力が求められている。

3 パネルディスカッション「地域の力と連携の強化に向けて」

■前田雅英 首都大学東京法科大学院教授

東京都は、2020年のオリンピック・パラリンピックの開催を控え、「世界一の都市・東京」を目指して、それにふさわしい安全安心を実現するために、今回、「安全安心TOKYO戦略」を策定した。
本日お集まりの関係者の皆様に、この戦略についてご理解いただき、改めて地域の安全安心と連携の強化に向けて一緒に考えていきたい。

(1)「安全安心TOKYO戦略」について

■河合潔 東京都青少年・治安対策本部長

都内の刑法犯認知件数は、戦後最悪と言われた平成14年から半減し統計上、治安は回復したが、振り込め詐欺や子供の連れ去りなど、弱者が被害者となる犯罪が多発し、都民の不安感は解消していない。
2020年のオリンピック・パラリンピックの開催を控え、62区市町村のどこにいても誰もが安全安心を実感できるよう、今後10年の取組の方向性を示すため、この戦略は策定された。
体感治安の向上が一つの問題であり、その観点から犯罪の取締りだけでなく、都民が不安や不快を感じるルール・マナー違反も視野に入れて取り組むとともに、地域に重点を置き、都民の生活の場である地域の安全安心を強化することが主題である。
東京都は広域自治体として、セイフティ・ミニマムを確保した上で、それぞれの地域の特性に合った安全安心対策がなされるよう、区市町村を通じて実態を把握し、分担と連携を強化していくということが今後も必要である。

■西川太一郎 荒川区長

この戦略は、安全安心で世界一を目指すための道筋を構築したものである。
警察や区市町村のようなフォーマル組織と町会や自治会のようなインフォーマル組織の連携は簡単ではないが、地域団体にこの戦略の趣旨を理解していただくことが大事である。

■藤本隆史 警視庁生活安全部長

自治体、警察、関係機関・団体、住民、事業者、ボランティア団体など、様々な活動の連携の強化が更なる安全安心に繋がる。
例えば、昨年の都内の特殊詐欺の被害額は80億円を超えている。以前は振込みが主流だったが、手渡しで現金を渡す手口が発生したり、偽名の口座や携帯電話を使って匿名性を高めるなど、悪質化している。暴力団等が敢行しており、中には中学生や高校生、大学生がバイト感覚で詐欺に加担している例もある。警察を始め各機関による取締りに加え、金融機関による声掛け、敬老会や民生委員を通じた高齢者向けの注意喚起や、自治体による啓発など、様々な主体による対策が進められている。自治体、警察、関係機関・団体、住民、事業者、ボランティア団体など、様々な活動の連携が更なる安全安心に繋がる。
この戦略には、地域の力の強化や高齢者等の弱者対策の強化、防犯団体の支援、安全安心活動の活性化、企業への働き掛けなど、様々な要素が含まれているが、このような視点は大変大事である。

■櫻井敬子 学習院大学法学部教授

東京都は日本の首都であり、また国際都市であることから、住民の多様性に着目しなければならない。地域の力や連携を議論する前段階で、住民像の特徴や条例の在り方について考える必要がある。
東京都安全・安心まちづくり条例は理念先行型である。この種の条例は、多様な価値観や外国人のことも考慮しながら議論し、まとめあげていく過程が重要であるとともに、実効性の確保も課題になる。
また、条例改正に当たっては、東京都と区市町村の条例を整理する必要がある。両者に隙間があれば、東京都は広域自治体としてそれを埋めるということもあり得る。

(2)地域の力の強化と連携の強化に向けた効果的な施策について

■河合潔 東京都青少年・治安対策本部長

平成23年の東京都の調査では、都民の治安に関する意識について、不安に感じる理由として最も多かったのが、「社会のルールやマナーを守らない人をよく見るから」であった。ルール・マナーは安全安心の基盤である。また、子供にとっては、犯罪や非行とも深く関係している。東京都は「こころの東京革命」を推進しているが、大人と子供がともにルール・マナーを守るように、区市町村と連携を図って地域への浸透を図りたい。
最近、外国人旅行者が増えているが、左側通行を含め、自転車利用時のルール・マナーをどのように伝えていくかということが課題となっており、また高齢者による万引きも問題になっている。今後、警察や区市町村と連携し、青少年だけでなく、外国人や高齢者も含めてルール・マナーを向上させ、地域の安全安心に繋げていくことが重要である。

■西川太一郎 荒川区長

教育と治安は分けて考えるものではない。そういう意味で、戦略策定の検討を行った懇談会のメンバーに区市町村の代表者や警察、学識経験者のほか、教育関係者が入っていることは意味があった。
校内暴力を始めとして、子供を取り巻く様々な問題に対しては、基本的に区市町村がより深く関与する必要がある。
最近、振り込め詐欺に関して、「受け子」や「出し子」の問題が発生しており、戦略の道筋の中で子供の倫理観を覚醒させていかなければならない。
例えば、江戸川区では、副読本として子供に刑法を読ませ、触法少年を生まないための取組を行っているが、23区全体で「こころの東京革命」の推進に取り組んでいる。

■藤本隆史 警視庁生活安全部長

子供の略取誘拐が全国的に多発するとともに、子供への声掛け・つきまとい事案も広く発生するなど、登下校時等に子供が被害に遭う事件が数多く発生している。また、通学路において車両が突っ込み児童が死傷する痛ましい交通死亡事故も発生している。
更に、危険ドラッグを吸引後、自動車を暴走させて8人を死傷させた事件、隣人宅に侵入して凶器で切りつけた事件など、危険ドラッグに起因する重大事件が多発しているほか、店舗やインターネットにおいて比較的安価で販売されており、容易に入手することができる実態がある。
子供の連れ去りに対しては、通学時の見守り活動、被害防止教育、不審者情報の共有等の取組が学校、警察、地域住民、道路管理者などにより進められている。通学路について、道路状況の変化や犯罪被害防止、交通安全の観点から検討され、道路管理者や警察の情報等が適切に反映されて安全が確保される仕組みを構築することが必要である。
また、危険ドラッグについては、関係機関が連携した取締り、インターネット上の広告の削除、各自治体による啓発、法改正や条例の制定等が進んでいる。社会的な関心も大変高く、販売店舗等は減少しつつあるが、なかには賃料さえ払えば、危険ドラッグ販売店舗だと分かっていても賃貸する業者もいる。今後、取締りの強化に加え、危険ドラッグの販売店舗を確実に排除することができるような実効性ある仕組みを構築することが必要である。

■河合潔 東京都青少年・治安対策本部長

防犯カメラは、疲れない・眠らない・見逃さない・忘れないという特徴を持っており、東京都はその設置補助を行っているが、地域や警察、区市町村の見守り活動も併せて必要である。
また、見守りだけでなく、子供自身が危険回避能力を高めていく必要がある。東京都は、今年度から、「子供110番の家」への駆け込み体験訓練を開始し、子供に実践してもらうことで実効性のあるものにしていくという取組を始めた。これまで進めてきた「地域安全マップ」についても、単に作り方を示すだけでは意味がなく、子供に実際に作ってもらうことが重要である。イギリスには、連れ去りや交通事故など、疑似体験を通じて子供自身が危険回避や対処法を学べる体験型施設があり、今後考えていきたい好例の一つである。
また、企業の力も取り入れて、自治体と企業間で協定やネットワークを組み、みんなで子供を見守るという「攻める防犯」・「ながら防犯」という観点も必要である。

■西川太一郎 荒川区長

荒川区では、防犯カメラの設置だけでなく、危険を感じた子供が緊急避難できるよう商店等にステッカー等の貼付をお願いしているほか、商店街の協力を得て、登下校時の声掛けや見守りを行っている。また、保護者・子供・教員が三位一体となって、通学路の危険箇所等の確認を行っている。

■櫻井敬子 学習院大学法学部教授

危険度に応じて、地域の犯罪行為を想定し、その対応を検討する必要がある。
テロであれば国レベルで対応し、ひったくり等の街頭犯罪は区市町村と地元警察が連携して対応するなど、国レベル・都道府県レベル・区市町村レベルの3段階に分けて考えることができる。
また、加害者の取締りは警察が行うが、防犯カメラの設置や防犯ボランティアの育成は一般行政でもできる。警察に寄せられる様々な相談も一般行政で対応できるものがあり、警察と一般行政で役割分担の線引きをすることで有限な人材を有効活用できる。
警察署と自治体間での覚書という話があったが、作ったものをどのように執行するかが問題である。全ての論点が網羅されているわけではないため、これまでの覚書の蓄積や試行錯誤の中で不足している部分が見えてきた段階で、都や区市町村が汎用性のある条例を作った方が良い。

■藤本隆史 警視庁生活安全部長

警察、都、区市町村はそれぞれの立場・役割に適した安全対策を様々に講じており、特に警察署と地域と関わりの深い事務事案を取り扱う区市町村との連携は不可欠である。特に、防犯上広域的な対応が必要となる場合や新たな課題・問題については、都や警察が仕組み作り等も含めて、区市町村や関係団体と連携を図りながら検討していく必要がある。また、区市町村では、特色のある様々な取組が行われており、効果的な対策や成功事例が出てくれば、これを全体で共有したり、関係機関の様々な段階で顔の見える関係を構築していくことも重要である。

■西川太一郎 荒川区長

荒川区では、3つの警察署ごとに2人一組の警察官で地域住民と合同パトロール等を行う「ふれあいポリス」のほか、高齢者等の協力による有償ボランティアの詰所「スクール安全ステーション」を小学校の校門付近に設置し、登下校時等の見守りが行われている。
また、荒川区は、地元の警察署との懇談会の場を設けており、情報交換や専門的視点からの助言を得ながら連携して取組を進めている。

■河合潔 東京都青少年・治安対策本部長

刑法犯認知件数は減少しているが、不安感は解消されておらず、それをどのように解決するかが今後の課題である。安全安心の確保については、事案によって、国と警察庁、東京都と警視庁、区市町村と警察署など、レベルを分けて検討していかなければならない。その際、「not knowing」(知らない姿勢)が大事で、互いの役割や立場を知らないままでは連携できない。効果的に連携をして物事を進めていくためには、互いの役割や能力、力を知る必要がある。
更に言えば、互いに何ができるかということ以上に、何を目的に何を行うのか、何を行えば成功するのかということを含め、互いの情報を発信・共有しておかなければならない。
現行の都条例は、環境犯罪的あるいは都市工学的な項目が多く、情報の発信・ 共有など、ソフト面の項目があまりないため、その意味でも条例の見直しが必要かもしれない。

(3)総括

■西川太一郎 荒川区長

23区は体感治安ナンバーワンを目指して互いに競い合っているが、体感治安の向上には、企業の存在を無視できない。また、都との関わりや警察署との連携も重要である。
治安が良くなった区では人口が増えている。交通の便の良さなど、要素はいろいろあるが、住民にとって一番大事なのは治安の良さである。

■櫻井敬子 学習院大学法学部教授

「地域の力」に行政や自治会、町内会等が含まれるのは当然だが、そこに入っていない人をどのように巻き込んでいくかということが、大都市の場合には重要である。とりわけ、東京は昼間人口が多いため、企業や商店街など、「今そこにいる人」を地域の担い手として取り上げるということが大きなテーマとなる。
また、基本的に無償のボランティアを念頭に置いているが、有償の警備業との協力も現代的な形態である。そのような方々との協力や活用を考えていくことも必要である。
近未来的な思考としては、多様な主体をいかに巻き込んでいくかというのが、現代的で重要な治安対策に繋がっていく。
法制度は、誰もが平等という前提で仕組みができているが、実際には男女で差があったり、高齢者の問題もある。この戦略が、子供や女性、高齢者などに焦点を当てたことは有意義である。

条例を作るに当たっては、より良いものとするため、法技術を学ぶなど鍛練してほしい。また、良い条例を作る際にキーパーソンになるのは、都知事や区長を始めとした首長である。

■藤本隆史 警視庁生活安全部長

犯罪被害を防ぐためには、高齢者、女性、子供を含め、都民において、自主防犯意識、すなわち、犯罪の被害に遭わないように気をつけていただくことが必要であり、そのためには被害の現状を始め積極的な情報発信を行い、これを共有していくことが重要となる。
また、自治体、警察、関係機関・団体、事業者、地域住民の方々など、様々な主体がより効果的な犯罪被害防止について考えるネットワークの構築も考えられる。様々な主体による有機的な連携が犯罪被害防止の核となる。
東京都安全・安心まちづくり条例は制定から10年が経過している。子供の安全確保など喫緊の課題に対応する仕組を整備するとともに、他県の条例も参考にして新しい要素を取り込んでいくことが必要である。

4 閉会挨拶

■河合潔 東京都青少年・治安対策本部長

今日のキーワードは「地域」である。そして、「地域」の中心は「人」である。刑法犯認知件数の減少は、防犯ボランティアの活動によるところが大きい。しかし、構成員の平均年齢が60歳以上の防犯ボランティア団体が全体の6割に上り、「人づくり」や「担い手づくり」が大きな課題である。今後は、企業等も巻き込んだ「ながら防犯」「攻める防犯」や「参加型犯罪予防」を進めていく必要がある。
今回、策定した「安全安心TOKYO戦略」は、「安全」と「安心」の間に「・」は入っていない。刑法犯認知件数は減少した一方で不安感は解消されていないということをもって、安全と安心の乖離と言われることがあるが、安全と安心のためにそれぞれ何をすべきかを考えると、あえて分けるべきものでもない。
東京の安全安心は、地域での日々の積み重ねにかかっているが、地域の安全安心の状況はそれぞれ異なっている。戦略では、区市町村や警察署、安全安心に関する様々な活動を実施されている団体など、地域を最もよく知る方々と共に、地域における自助、共助、公助の主体的な取組を進め、地域の安全安心を確保し、世界一の都市にふさわしい安全安心を実現していくこととしている。これは容易なことではないが、知事の挨拶にもあったように、様々な主体が協力して取り組めば必ず達成できる。
都は、この戦略に基づき、一層の地域の安全安心の向上のため、関係機関・団体との分担と連携を強化して、それぞれの地域の実情に踏まえた対策が講じられるよう取り組んでいく。

お問い合わせ

青少年・治安対策本部 総合対策部総務課 広報担当
電話:03-5388-2258 FAX:03-5388-1217
E-MAIL:ml-seisho01@section.metro.tokyo.jp
所在地:東京都新宿区西新宿2-8-1 都庁第一本庁舎北塔34階

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